屋形地蔵盆
地蔵盆は、子どもを病気や災難から守る、地蔵菩薩の縁日。子供たちが中心となって、集落の入口や辻にある地蔵尊や祠を、提灯で飾り付け、団子やお菓子を備えてお祭りします。中でも特に有名なのが、屋形地区の地蔵盆です。
屋形では、上組・中組・下組の三か所で、地蔵尊が祀られています。
上組地蔵堂の石仏には、「享保十年(1725年)正月」と刻まれています。今から約300年前のもの。かつては石室の中で祀られていましたが、1941年(昭和16年)に現在の霊堂が建立されました。
最初は、北の上組一か所だけでした。けれど、住居が増えるにつれ、集落の南にある地蔵坐像(建立年は要確認)と合わせて、南北二か所で祀るようになりました。
さらに大正七〜八年(1918〜1919年)頃から、峠の自然石でできた自然地蔵像を——昭和二十年(1945年)に変更したものを——中組として迎え、ここで祭りが始まりました。
8月23日・24日の二日間、屋形は盛大に地蔵祭りを迎えます。沿道には、笹ちょうちんやぼんぼり。軒先には、直径40センチ・長さ70センチの大きな提灯。盆踊り、福引——賑やかな夏の夜の祭りが繰り広げられます。
そして、お祭りの終わる24日の夜11時頃。
上組の地蔵堂の前で、大きな数珠の輪が作られます。般若心経を唱え、南無阿弥陀仏と唱えながら、頭上を、大数珠が送られていきます。
数珠繰り(じゅずくり)は京都に発する伝統で、108の珠は、人間の煩悩(欲望・執着・怒り)の数。数珠を繰ることで、それらを払い、心身を清めるとされています。
順々に南下して、中組、下組の地蔵尊にも参詣。数珠の中の大玉を迎えるごとに、健康を願って、頭にいただきます。屋形のように、大数珠を頭上へ送りながら順々に南下し、大玉を迎えるごとに頭にいただく形は、全国的にも稀な慣わしです。
下組の地蔵尊前で、祭りを終わり、家へと帰ります。